Debian から Ubuntu への移行 (2011/07/29)

きっかけはソフトウェア無線のライブラリ GNU Radio を使用しようとしたことです.Debian GNU/Linux の stable (squeeze) では GNU Radio のパッケージは提供されておらず,stable の backports でも提供されていませんでした.unstable (sid) の gnuradio パッケージをインストールしようとしましたが,依存関係から OS の根幹を成すライブラリまで unstable にせざるを得ないため,あきらめました.そこで,ソースからの Debain パッケージをビルドしようとしましたが,関連パッケージのビルドの途中で失敗して挫折しました.

Debian GNU/Linux stable 上では,安定した GNU Radio をインストールすること自体が難しいと判断し,Ubuntu の検討を始めました.Debian と Ubuntu の比較サイトを参考にして,検証した結果,個人のデスクトップ環境としては Ubuntu でも特段問題なしと結論しました.

早速,最新版の Ubuntu 11.04 (natty) 64ビット版 (推奨は32ビット版) の CD イメージをダウンロードし,DVD メディアに書き込み,インストールしてみました.インストーラで root のパスワードを設定しないので root のパスワードがどうなっているのかよく分かりませんが,sudo を経由して root 権限を得る仕組みが最初から取られていて,マルチユーザよりパーソナルユーザのデスクトップ環境を構築するのに特化されている印象を受けました.また,慣れていないと,サーバは構築しづらい印象を持ちました.次の画面はインストールし,いろいろとカスタマイズしたあとの Ubuntu です(見た目はほとんど変更していません).

Ubuntu natty

研究室内のマルチユーザ用のPCとして利用するため,次のような各種の設定を行いました.

  1. root のパスワードの設定

    sudo su で root になって,passwd コマンドで root のパスワードを変更しました.初期の root のパスワードは調べていませんが,インストール時に作成したユーザのパスワードがそのまま使われていたのでしょうか.なお,sudo の設定は,admin グループに sudo により root 権限を与えていて,その admin グループに初期ユーザが所属する形式をとっていました./etc/sudoers を変更しないで,あるユーザ hoge に sudo による root 権限を与える場合は,sudo usermod -G admin hoge でいいでしょう.

  2. 固定 IP アドレスの設定

    研究室内のプライベートネットワーク内でデスクトップPCには固定 IP アドレスを与えています.しかし,Ubuntu はインストール時には DHCP を利用して,固定 IP アドレスを設定できません.ログインしてから,ネットワークを設定するためのアイコンがデスクトップの右上に現れます.ネットワーク設定アイコンを左クリックして,「接続を編集する」を選び,ネットワーク接続の画面を立ち上げてから,「有線」タブの「Auto eth0」を編集します(Windows OS の設定を説明している感じがします)./etc/network/interfaces が更新されるのかと思いましたが,そうではなく,/etc/NetworkManager/system-connections/Auto eth0 が更新されました./etc/network/interface ではループバックインターフェースの設定しか書かれていません.なんとなく不安を感じるのは,私が古い人間なのでしょう.

  3. LDAP クライアントの設定

    研究室ではマルチユーザの認証を LDAP サーバにより実施しています.Debian のときと同様,apt-get install libnss-ldap で libnss-ldap パッケージをインストールしてみました.依存関係により,ldap-auth-config がインストールされます.ldap-auth-config パッケージがイントールされている最中に設定項目が質問されますので,それらの質問に適切に答えます.後は,「LDAPクライアントの設定(Linux)」のDebian GNU/Linuxの場合と同様,/etc/nsswitch.conf を書き換えればオーケーです.なお,試していませんが,コマンドラインからの認証設定は auth-client-config コマンドでできるものと思います.

  4. NFS クライアントの設定

    ローカルユーザのホームディレクトリを /home から /local に移し,NFS サーバの /home を NFS マウントしました.これは,従来の設定通り,/etc/fstab に NFS マウントを追加しました.なお,ローカルのマウントでは,ファイルシステムの記述に UUID を使用しています.UUID は,sudo blkid /dev/sda6 などで調べることができます.

後は,Samba の設定(「Samba ファイルサーバの LDAP 認証でのトラブル」を参照)や thunderbird, chromium-browser などのパッケージをインストール・設定を行いました.また,当初の目的であった gnuradio パッケージは問題なくインストールできました.Debian GNU/Linux のときは,使用していませんでしたが,Synaptic パッケージマネージャは非常に便利でした.パッケージの検索,説明など簡単にできます.

Synaptic Package Manager


梅原 大祐 / UMEHARA Daisuke umehara@kit.ac.jp
Last modified: 2020/05/01 15:37
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