研究室の屋内配線の透過特性 (2006/09/08)

研究室内の一室の屋内配線の透過特性をネットワークアナライザAgilent 8712ETで測定しました.その部屋の配線図は次の通りです.

S401

測定するコンセントは,図中のA, B, C, Dで,全て同じ分岐回路上にあります.配線図の記号は次の書籍などが参考になります.

図解 屋内電気工事早わかり,芝崎 成一・川藤 勲・山本 幸夫 共著,Ohmsha

測定系は次の通りです.

Measurement System

図中のネットワークアナライザの"R"が反射測定ポートで,"T"が透過測定ポートです."Limiter"は文字通り,振幅レベルを制限します.ネットワークアナライザ8712ETのダメージレベルは20dBmであり,電力線からの高周波の伝導ノイズには気を付ける必要があります.コンセントの抜き差しは特に危険で,振幅10Vくらいのパルス性のノイズが観測されることがあります.リミッタがある場合でも,測定時に回路構成を変更する際には,まず測定ポートのケーブルを抜いてからコンセントを抜き差しするのが無難です.ダメージレベルが20dBmであり,入出力インピーダンスが50Ωであることから,少なくとも伝導ノイズの電圧振幅 V

V2 / 50 Ω ≤ 1020/10 mW
V ≤ √ (100 mW x 50 Ω) = 2.236 V
のように2.236V以下に抑える必要があります.今回は,リミッタに,立ち上がり電圧が約0.6Vである,スイッチングダイオード (ローム製,型番 1SS133) を2個を用いました.次がリミッタの写真です.

Limiter

これで,振幅値が0.6Vに制限されます.周波数特性は,ネットワークアナライザで測定したところ500MHz付近までほぼ平坦です.また,測定系の"Calibration"のところで,エンハンスドレスポンス校正を行っています.従って,測定した透過特性には,研究室で製作した結合回路の特性が含まれます.

次の右の写真は,コンセントAに結合回路を差し込んでいる様子で,左の写真は測定時のネットワークアナライザです.

Pickup Circuit on Outlet Measurement by Network Analyzer

AB間,AC間,AD間の透過特性は次のようになりました.

Pickup circuit on Outlet

AB間とAC間,AD間を比較すると,高域において距離による減衰が現れていることが分かります.


梅原 大祐 / UMEHARA Daisuke umehara@kit.ac.jp
Last modified: 2020/05/02 13:08
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